研究業績

ACS Pharmacology & Translational Science (2025)
Development and Mechanistic Evaluation of a Lithocholic Acid Derivative as an Environmentally Safe Rodenticide

著者

Kazuki Takeda*, Kana Okamura, Satoru Nagaoka, Chiharu Ogura, Misaki Fukamatsu, Mayumi Degawa, Hiroyuki Kagechika, Kenji Ohgane, Ryo Kamata, Aya Tanatani*

カテゴリ

学術論文

Abstract

【リトコール酸骨格を持つ新規殺鼠剤Dcha-20の作用機序の評価】 齧歯類の防除は、人獣共通感染症の媒介や生態系への被害という観点から、依然として世界的に重要な課題である。しかし、抗血液凝固性殺鼠剤をはじめとする既存の殺鼠剤には、齧歯類における抵抗性の発達や、生物蓄積に起因する非標的種への二次毒性など、重大な限界がある。リトコール酸誘導体であり、ビタミンD受容体アゴニストであるDcha-20は、これらの問題を克服し得る化合物として合成された。本研究では、Dcha-20の殺鼠効果、安全性プロファイル、および作用機序を検討した。 Dcha-20の経口半数致死量(LD₅₀)推定値は、雌雄ラットにおいて4.9 mg/kgであり、現在利用可能な殺鼠剤の中でも特に高い毒性効力を有する化合物に位置付けられた。薬物動態解析では、Dcha-20は短い半減期と低いバイオアベイラビリティ(雄4.5%、雌12.8%)を示し、二次毒性のリスクが低い可能性が示唆された。ビタミンD₃とは異なり、Dcha-20はビタミンD₃で認められる血漿カルシウム濃度の上昇を引き起こさず、非標的動物における高カルシウム血症のリスクを低減し得ることが示された。 トランスクリプトーム解析では、ビタミンD代謝および炎症応答に関連する経路の上方制御が認められ、急性腎不全が主要な毒性機序であることが示唆された。病理組織学的解析および生化学的解析により、血中尿素窒素およびクレアチニン濃度の上昇を含む腎障害が確認された。また、Dcha-20は、ビタミンD₃誘導体とは異なり、光および熱に対して安定であった。 以上の結果から、Dcha-20は、安全かつ有効な齧歯類防除に向けた有望な候補化合物であり、大規模な利用への展開可能性を有することが示唆された。