研究業績

The Journal of Veterinary Medical Science 88, 7, In Press (2026)
An Ordinary Differential Equation-Based Integrated Pharmacokinetic–Pharmacodynamic Model for Predicting Anticoagulant Responses to Warfarin and Diphacinone Across Rodent and Bat Species

著者

Misaki Fukamatsu, Moyu Miyamae, Ryo Kamata, Kazuki Takeda*

カテゴリ

学術論文

Abstract

【齧歯類およびコウモリ種間におけるワルファリンとジファシノンに対する抗凝固応答を予測するための常微分方程式に基づく統合薬物動態–薬力学(PK/PD)モデル】 抗血液凝固性化合物に対する感受性の種差は、獣医毒性学および野生動物リスク評価における重要な課題である。本研究では、肝臓中曝露量とビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)の阻害、さらにそれに続く血液凝固時間(プロトロンビン時間PT-INR)の変化を関連付けることにより、ラットとコウモリにおける抗凝固応答を定量的に比較する統合薬物動態–薬力学(PK/PD)モデルを構築した。種特異的な薬物動態パラメータは、実験的に得られた濃度–時間データから推定し、VKOR活性および凝固因子合成を記述する機序的ターンオーバーモデルに組み込んだ。本モデルは、ラットにおける用量依存的なPT-INR延長を再現するとともに、コウモリで認められた遅延性かつ減弱した抗凝固応答を良好に記述した。感度解析により、肝クリアランス(CLh)、肝分布容積(Vh)、およびVKORに対する50%阻害濃度(IC₅₀)がPT-INR応答を規定する主要因子であり、基礎的な凝固系ターンオーバーの寄与は比較的小さいことが示された。さらに、阻害作用の強さを代替的に示す指標として、構造に基づく結合親和性推定値の利用可能性を検討した。計算上の親和性スコアは抗凝固作用の相対的な強さを定性的には反映したものの、実験的に得られた阻害パラメータをこれらのスコアで置換すると、一部の抵抗性種において予測精度が低下した。この結果は、構造情報のみに基づくアプローチが現時点では限界を有することを示している。以上の結果から、機序的PK/PD統合は、抗凝固毒性における種差を評価するための定量的枠組みを提供し、獣医領域におけるリスク評価および野生動物保護戦略の策定に貢献し得ることが示された。