研究業績

Ecotoxicology and Environmental Safety 243, 15, 113971 (2022)
Toxicokinetic analysis of the anticoagulant rodenticides warfarin & diphacinone in Egyptian fruit bats (Rousettus aegyptiacus) as a comparative sensitivity assessment for Bonin fruit bats (Pteropus pselaphon)

著者

Kazuki Takeda, Kosuke Manago, Ayuko Morita, Yusuke K. Kawai, Nobuaki Yasuo, Masakazu Sekijima, Yoshinori Ikenaka, Takuma Hashimoto, Ryuichi Minato, Yusuke Oyamada, Kazuo Horikoshi, Hajime Suzuki, Mayumi Ishizuka, Shouta M.M. Nakayama*

カテゴリ

学術論文

Abstract

【オガサワラオオコウモリ(Pteropus pselaphon)の比較感受性評価に向けた、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)における抗凝固性殺鼠剤ワルファリンおよびジファシノンのトキシコキネティクス解析】 抗血液凝固性殺鼠剤は、遠隔島嶼において外来種として生態系を攪乱し得る野生齧歯類を駆除するため、広く使用されてきた。しかし、殺鼠剤は野生動物に中毒を引き起こす可能性があるため、殺鼠剤を効果的かつ安全に使用するためには、地域に生息する哺乳類および鳥類の感受性を評価する必要がある。小笠原諸島は、日本本土から南東約1,000 kmに位置する群島であり、独自の生態系で知られている。同諸島では、外来種であるクマネズミ(Rattus rattus)の防除に、第一世代抗凝固性殺鼠剤であるダイファシノンが使用されている。小笠原諸島に固有の唯一の陸生哺乳類はオガサワラオオコウモリ(Pteropus pselaphon)であるが、殺鼠剤に対するその感受性についてはほとんど明らかになっていない。 本研究では、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)をモデル動物として用い、in vivo薬物動態および薬力学解析、ならびに肝ミクロソーム画分を用いたin vitro酵素反応速度論解析を実施した。また、ゲノム情報に基づいて、オガサワラオオコウモリにおける殺鼠剤の標的タンパク質であるビタミンKエポキシド還元酵素(VKORC1)の構造をAlphaFold2で予測し、殺鼠剤に対する結合親和性を評価した。 エジプトルーセットオオコウモリでは、ダイファシノンの排泄が遅く、ラットと同程度の感受性を示した。一方、同じ第一世代殺鼠剤であるワルファリンは、ラットよりも速やかに排泄され、毒性影響からの回復もより早かった。in silico結合解析においても、オオコウモリ類のVKORC1はワルファリンに対して比較的低い感受性を示す一方、ダイファシノンには強く結合することが予測から示唆された。 以上の結果は、同一の作用機序を有する化学物質であっても、その感受性は動物種によって異なることを示唆している。すなわち、オオコウモリ類はワルファリンに対しては比較的抵抗性を示す一方、ダイファシノンに対しては脆弱である可能性が示された。