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第530回獣医学科セミナーにて受賞講演を行いました!

2025年5月14日(水)、A棟3階A31講義室にて開催された
第530回獣医学科セミナー<ベスト論文2024> にて、当研究室の武田講師が演者として受賞講演を行いました!
選出いただいたのは、以下の論文です👇
Takeda K. et al., Environ Toxicol Chem., 2024 Oct;43(10):2176-2188
「Assessment of the Aryl Hydrocarbon Receptor-Mediated Effects of Aromatic Sensitizers in Paper Recycling Effluent Employing Zebrafish Embryos and in Silico Docking」
▶ 論文リンク:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/etc.5969
💡 研究内容をざっくり紹介!
「リサイクルすれば環境にいい」…は本当でしょうか?
本研究では、そんな“常識”に一石を投じる結果が得られました。
日本は世界でも有数のリサイクル先進国で、古紙リサイクルは特に盛んです。しかし、古紙再生工場から出る排水には除去しきれなかったインク由来の化学物質が含まれており、環境中に流出する可能性があります。
そこで当研究では、
古紙リサイクル工場排水中の化学物質をコンピュータで毒性スクリーニング(分子ドッキング)
有望な候補物質のみを実際にゼブラフィッシュ胚で毒性評価
という 動物実験を最小限に抑えた方法 で、新たな毒性物質の発見に取り組みました。
その結果、感熱紙増感剤として用いられているベンジル2ナフチルエーテルという物質が催奇形性およびダイオキシン受容体(AhR)活性を示す事を特定しました!
🎓 学生の活躍がこの成果を支えました!
この研究は、2022年度卒業生・更田さんの卒論がベースとなっており、彼女の発表は環境系3学会の合同大会にてSETAC賞を受賞しました。
さらに、本研究の続編として成魚への影響評価に取り組んだ2024年度卒業生・孫さんも、今年の日本毒性学会で学生ポスター賞を受賞しています!
🧬 今後に向けて
この研究では、構造予測(AlphaFold)×ドッキング解析×ゼブラフィッシュという、in silicoからin vivoまでを一貫して結びつける“毒性予測の新しい形”を提示しました。
リサイクルの「落とし穴」に目を向けた本研究が、今後の環境保全と化学物質管理のアップデートに繋がることを願っています。
今後も私たち毒性学研究室は、構造科学×環境毒性学の力で、社会に新しい問いと解決策を提示していきます!
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