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学会2025.07.07

第52回日本毒性学会学術年会で6演題発表しました!

2025年7月2日~4日に那覇で開催された第52回日本毒性学会学術年会(JSOT 2025)に、北里大学獣医学部・毒性学研究室からは教員2名と学部6年生3名が参加しました!
 
今年の学会テーマは「Diversity in Toxicological Sciences for Sustainable Environment and Human Health」。国内の毒性研究者だけではなく、米国毒性学会(SOT)やアジア諸国の毒性研究者も参加し、毒性学分野の最新情報の収集や意見交換が活発に行われました。私たちのラボも、多彩な発表と企画で盛りだくさんの3日間を過ごしました。



若手企画ワークショップを2本担当!

今年は研究発表だけでなく、武田講師が企画委員として若手企画ワークショップを2つ開催しました。


ワークショップ1:毒性学研究者の生存戦略(キャリアパス)を考える

発表演題
 Y1-1 第51回JSOT学術年会内キャリアパスアンケートの機械学習分析による総括
 武田 一貴

毒性学会員403名からのアンケート回答をもとに、研究者としてのキャリアパスと育児に関する意識や課題を機械学習で解析しました。
性別、就業年数、子育て状況などがキャリア意識にどう影響しているのかをデータサイエンスで可視化し、「毒性学分野のキャリアパス」に関する新しい視点を提案しました。


ワークショップ2:毒性学×新技術 – 新しい毒性学を考える

 Y2-0 Introduction 武田 一貴

このセッションでは、AI、分子ドッキング、オミクス解析など、次世代技術と毒性学の融合をテーマに議論しました。
「毒性学の未来をどうアップデートするか?」――熱いディスカッションが飛び交う、非常に刺激的な場になりました。


ポスター発表も充実!

ラボメンバーによる最新研究成果を4題発表しました。

P-8S
リトコール酸骨格を持つ新規ビタミンD受容体アゴニストDcha-20の殺鼠効果及び毒性発現機序の探索
深松 美咲

P-30E
タンパク質構造プロテオームへの網羅的分子ドッキング計算 “Binding Proteomics”解析によるプベルル酸の毒性標的候補の探索
武田 一貴

P-31S
網羅的分子ドッキング計算による結合標的発見法Binding Proteomicsの精度評価
菅原 琳

P-36S
パーフルオロアルキル化合物(PFASs)の日常摂取相当9種混合曝露が雄性マウスへ与える精巣毒性影響の評価
吉村 和加菜


学会を振り返って

今年の学会は、

  • 「毒性学とデータサイエンスの融合」

  • 「アジア諸国の最先端の毒性学研究」

  • 「環境化学物質のリスク評価」
    など、まさに次世代の毒性学を考える内容が目白押しでした。

私たちの研究室も、

  • AIによるキャリアパス分析

  • Binding Proteomicsによる網羅的標的予測

  • 近年大きな社会問題となっているPFASの毒性評価

  • 新規殺鼠剤の毒性発現機序解析
    など、多角的なアプローチでの研究成果を発表し、今年の年会のDiversityに貢献できたと思います。

参加された皆さま、ポスターに立ち寄ってくださった先生方、本当にありがとうございました!


Breaking News!

今年の年会でも多くの先生方からご質問をいただいたAlphaFold2構造プロテオームへの網羅的分子ドッキングによる毒性標的予測法「Binding Proteomics解析」の論文が日本毒性学会が刊行する国際科学ジャーナルThe Journal of Toxicological Sciencesの2025年7月号に掲載されました!

下記URLからご覧いただけます。

Teppei Hayama, Rin Sugawara, Ryo Kamata, Masakazu Sekijima, Kazuki Takeda, Comprehensive molecular docking on the AlphaFold-predicted protein structure proteome: identifying target protein candidates for puberulic acid, The Journal of Toxicological Sciences, 2025, Volume 50, Issue 7, Pages 309-324, Released on J-STAGE July 01, 2025, https://doi.org/10.2131/jts.50.309


本手法はGitHubにも公開済なので、是非多くの方にご利用いただけますと幸いです。


Breaking News!!

学部6年生深松美咲さんのポスター発表「リトコール酸骨格を持つ新規ビタミンD受容体アゴニストDcha-20の殺鼠効果及び毒性発現機序の探索」が学生ポスター発表賞に選定されました🎉🎉🎉

https://kitasatoxlab.jp/blog/detail/4030

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